アジアの水資源を盗み「武器化」中国三峡ダムの真相【及川幸久−BREAKING−】
中国はチベットの水資源を収奪することで東アジアに対する武器化して、さらにはこれを原因として今年の大洪水が起きているのだという及川氏の解説動画。
これの元となっている次の動画は48分となかなか長く・・・、
チベット活動家 マウラ・モイナハン氏インタビュー アジアの水を武器化する中共 三峡ダムに絡むチベット問題とは
これを短くまとめているのが及川氏の冒頭の動画となります。
短い、といってもそれでも18分ほどありますので、本稿ではさらにこれを短時間で読めるよう、私なりにまとめてみたいと思います。
ただし、内容はその分、薄くなりますので、お時間がある方はできれば上のチベット活動家マウラ氏のインタビュー動画を、そこまで時間がないなら及川氏の解説動画をご視聴していただければ嬉しいです。
さて、この話を提起した「チベット活動家 マウラ・モイナハン氏」というのは、元・駐インド米国大使を父親に持つ、政治家の娘です。そのような経歴から、インド、ネパール、チベットに関する調査に情熱を傾けてきた方のようです。
元々、チベット問題などを米紙ワシントンポストにも寄稿を続けていたようですが、2000年を境に同紙は寄稿を拒否するようになりました。それ以後は、彼女の話を取り上げてくれるのは大紀元などの対中国メディアぐらいだったといいます。
つまり、アメリカの主要メディアを始め、世界はチベットのことに言及したくないという流れになりました。
だから、誰もチベットの問題を知らない。
今になってチベットが注目されかけているのも、ウイグルやモンゴルの人権問題に引っ張られて、またインドと中国の国境紛争でチベットの土地やチベット人が巻き込まれているからでしょう。
マウラ氏の語るチベットの問題はいくつかあります。
① 中国によるチベット資源の奪取と、下流域への影響
② 高地からアジア諸国へ撃ち下ろすミサイル基地化
③ 水資源を握ることにより、これも武器化
④ チベット人の弾圧と迫害
① 中国によるチベット資源の奪取と、下流域への影響
チベットはヒマラヤ山脈の高原地帯にあります。エベレストの山頂も、チベットとネパールの国境付近。このような高山にあるので、北極、南極に次ぐ第三の氷河を有するとのこと。
チベット人は水資源をできるだけ汚さず、むしろ神聖視して共生してきました。
遊牧民にとって、地域から地域への移動には「川」や「湖」などの水の存在が重要だったのでしょう。
標高5000mを越える高原の、木の生えないなめらかな「ぬらぬら」とした緑の丘陵の風景は、美しく偉大でした。
しかし、中国人がそんな民族事情や信仰を気にするはずもありません。
森は伐採し、川はせき止め、あまつさえ、流れをかえて干ばつ地帯へ誘引しました。
その結果、かのメコン川の水流も激減して下流域の生態系を著しく破壊し、東南アジア諸国の生活に影響を及ぼし、肥沃なメコン流域に干ばつを引き起こすことになりました。
メコン流域の住民は、川から穫れる魚が重要なタンパク源でしたが、近年の中国ダムの影響はいよいよ激しく、メコンの魚の価格も高騰してしまいました。
参考リンク:なぜ?メコン川に異変 色が変化、水位低下…上流の中国ダム影響か(西日本新聞)
また、川の水域が変われば住民の生活もまた変わります。かつて水が流れていた場所まで今は家を建てて住んでいたりするところは、、、、上流で放流なんかされたら、一気に押し流されることでしょう。
これが、③ 水資源を握り、武器化 ということです。川を干上がらせるも、氾濫させるも、思いのまま。上流で河川の水の流れを管理しているために、下流住民の生殺与奪を握ってしまいました。
これは、メコン川だけでなく、インドに注ぐインダス川などの他の主要河川にもいえることです。
そして、上流で森林伐採をしたツケは、中国国内にも撥ね返ってきました。
これが、今年の大洪水です。
中国の長江も黄河も、水源はチベット高原。
チベットの森がなくなったために上流の土の中に水を溜めておく機能がなくなり、治水効果がなくなってしまったのです。
これは完全な、人災です。
② 高地からアジア諸国へ撃ち下ろすミサイル基地化
チベット高原は、ネパール、インド、東南アジアを見下ろす形になります。
高所からボールを投げれば遠くまで飛ぶように、チベット高原からミサイルを発射すればインドの主要都市までも楽に届くようになるのではないでしょうか。
2020年前半にも、チベット仏教や4つの宗教の聖地となっているカイラス山周辺にミサイル基地を建造していると明らかにされました。この場所はチベットの端にして、ネパールとインドの国境に近いのです。
関連記事:ミサイル基地 in 聖地カイラス。中国の暴挙が止まらない
チベットは最も軍事化された場所だと、マウラ氏はいいます。
インドに対峙する紛争地域の兵士とは別に、省都ラサや重要な街では兵士がそこらをうろつき、また屋根の上から広場の市民の動静を見張っています。
中国全土から青海省を経由してラサへといたる青藏鉄道はロマンティックな天上の列車旅のように宣伝されますが、実は重要な軍事施設でもあります。
何千kmも伸びる鉄道の周囲には兵士が見張りに立っていて、一般人が近寄れば追い払われるのです。旅人の雨宿りもできません。
先日の記事でも、中印国境紛争地域を中心に、約150機の戦闘機等が配備されているようだという報道をご紹介したばかり。
関連記事:中印外相「国境から兵を撤退」を合意→ 中国戦闘機150機配備
信仰厚く平和を愛するチベット人の生活圏が、中共の勝手な戦争のために汚され続けています。
④ チベット人の弾圧と迫害
中共のチベット占領は3段階ある、とマウラ氏。
最初の1950年代〜1960年代は軍事的な占領。現地のチベット人を服従させて、兵舎に入れます。
1970年代〜1980年代は軍用道路を拡張し、交通網を敷いてから中国の漢民族を移住させてチベット人と結婚させます。現在新疆ウイグルで起きていることが、チベットでもずっと前から行なわれているということです。
チベットは中共による虐殺と拷問の実験台なのだと、大学時代にチベット高原の軍事化を研究したという同氏が語ります。
その次にくる第三段階、については語られていませんが、現在の軍事力による強圧的な実行支配のことを指しているものと思われます。
神聖な巡礼地に軍事インフラを建造するという侮辱行為も、誰も逆らうことができません。
上では軍事的な占領、と簡単に書きましたが、その実態は酷いもので、非暴力の
また、報道されていない事実のひとつとして、中共はネパールのチベット文化圏5つを、収奪し中国に組み込んだといいます。
こちらのニュースに関連する話だと思います。
中国、ネパール国境を不法占拠か
・ 中国はネパールとの国境を1500メートルネパール側に押し出した
・ 少なくとも11カ所/64ヘクタールものネパールの土地を占拠/侵害
・ 国境についての対話方法も示さず、紛争解決への議定書にも署名しないよう圧力をかけた
・ 両国の国境線1414kmの国境線を示す境界柱はほとんど行方不明となり、残っている数本もネパール側に移動させられている
参考リンク:中国、ネパール国境を押し下げ不法占拠か=印報道(大紀元)
なんだかもう、やりたい放題です。
国際社会がチベットとネパールにも目を向けるようになれば、東南アジア諸国の安全とメコン川奪還も視野にいれ、力になってくれるのではないでしょうか。
隣国の土地を強奪し、ダム建設による下流域への影響をこれっぽっちも考えないなんて、今の世の中で許されるでしょうか。
これは、国内の人権問題や環境問題を越え、国際社会への挑戦です。
世界がチベット問題に注目するようになれば、ますます中国の肩身は狭くなり、経済的にも苦しくなるような制裁が待っていることでしょう。
参考記事:香港ドルの暴落近し?米国の香港制裁と中国の経済をワッチせよ
参考リンク:全ての記事を表示する